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2024.02.29

電子帳簿保存法とインボイス制度

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1. はじめに

電子帳簿保存法とインボイス制度は、過去のNewsでも取り上げていますが、いずれも企業が事業を行う上で重要な制度です。これらは別々の制度ですが、企業の税務申告と帳簿管理において互いに関連しています。今回は、それぞれの制度とその関連性について簡単に説明します。

2. 電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、企業が電子的な形式で帳簿や関連書類を保存することを認める制度です。電子データでの保存や書類のスキャン保存を認めることで、企業の経理処理の負担軽減を目的としています。
その一方で、注文書や請求書等の取引情報を紙ベースではなく、メール等の電子取引で受領・送付した場合には、電子データでの保存が義務となるため、注意が必要です。

3. インボイス制度

インボイス制度は、消費税の仕入税額控除の方式として、複数税率制度のもと、適正な申告と納税の促進を目的とした制度です。
この制度下では、登録番号および税率ごとの消費税額を明記するなど所定の事項を記載した適格請求書の発行・保存が求められ、売手・買手の双方に以下の留意点があります。

売手:取引の相手方に適格請求書を交付し、その写しを保存する義務
買手:仕入税額控除の要件として、一定の事項を記載した帳簿と適格請求書を保存する義務

4. 電子帳簿保存法とインボイス制度の関連性

インボイス制度における適格請求書は、紙またはデータでの発行が認められていますが、データで発行および受領した適格請求書は、電子帳簿保存法の要件に則して、データでの保存が義務付けられています。

5. 企業のデジタル化との関連性

電子帳簿保存法とインボイス制度は、経済社会のデジタル化を踏まえ、今後の企業の経営/意思決定に必要な情報を管理する観点からも重要な制度です。

電子帳簿保存法により、電子取引情報のデータ保存が義務付けられるため、企業においては、紙ベースでの書類の取り扱いをなくし、様々な文書をデータで一元的に効率よく管理できる文書管理システム(DMS / Document Management System)の使用も活発になってくるでしょう。

また、デジタル庁では、電子文書の国際標準仕様である「Peppol」に準拠した日本版デジタルインボイスの標準仕様「JP PINT」の普及、定着を推進しています。 
「JP PINT」は、インボイス制度に標準対応できるシステムであり、かつ、海外企業と同じ基準のデジタルインボイスでの取引が可能です。

6. おわりに

今回は、電子帳簿保存法とインボイス制度について取り上げました。 なお、今回の解説も、概略的な内容を紹介する目的で作成されたものですので、専門家としてのアドバイスは含まれておりません。個別に専門家からのアドバイスを受けることなく、本情報を基に判断し行動されることのないようお願い申し上げます。
ご不明な点等ございましたら、お気軽に弊社までご相談下さい。


(参考文献)
・電子帳簿等保存制度特設サイト|国税庁 (nta.go.jp)
・インボイス制度の概要|国税庁 (nta.go.jp)
・デジタル庁 JP PINT https://www.digital.go.jp/policies/electronic_invoice/



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